全国的には急速に広がりつつある奨学金代理返還制度。日本学生支援機構によると、制度を導入した企業は5月現在、全国に1200社を超えました。ところが、長崎県内に目を移すと、5月現在でも9社にとどまっています。
私たち長崎博愛会は4月に「奨学金返還サポート制度」として導入しました。導入した背景には、福祉業界の人手不足があります。きつくて給料が安いというイメージが根強いため、求職者に敬遠される傾向にあります。若手職員に限っては、さらに少子化という厳しい現実が立ちはだかります。何も手を打たないならば、若い人々に見向きもされなくなります。それでは事業所として地域の福祉を担うことはできません。
そこで、若者を支えるしくみとして奨学金返還サポート制度にたどり着きました。この制度は、学生時代に奨学金を貸与されていた職員が返還する額の一部、あるいは全部を、法人が肩代わりして代理で返還するものです。法人が代理で返還する分、職員は経済的なゆとりができます。貯金するのも、趣味に使うのもすべて自由です。いくつかの条件はあるものの、長く働くならば、職員にとってはメリットがあります。
一方で、法人にとっても、若い職員に安心して働いてもらえる環境を整えられる点はメリットです。高齢化社会である限り、福祉に人が必要なことは言うまでもありません。若い人を呼び込みたいという思いは、すべての福祉現場の切実な声でしょう。その意味で、この制度が県内の福祉現場に広がることを願っています。
長崎博愛会の制度は、日本学生支援機構のウェブサイトをご覧ください。右端の「+」マークをクリックすると詳細がわかります。お問い合わせは、長崎博愛会(0956・58・2139)へ。